前回は、三十四箇所札所巡りの1日目について書きました。
前回の記事を読んでいただいた方は、タイトル間違ってない?という印象を受けるかもしれません。
1日目は、お話好きなおじさんやバスツアーなどに足止めは食らったものの、確かに順調のように思いました。回れた札所も21箇所と、まずまずではなかったでしょうか。では、なぜこのようなタイトルになっているかと申しますと、それは2日目がしんどすぎたからです。1日目と2日目は、とんでもなく様相が変わります。
その原因は、単にミニベロで巡礼に挑んだことが原因です。さらに下調べと時間が足りなかったことでしょう。僕がミニベロで挑戦した理由は前回記事を参照していただくとして、さっそく2日目の巡礼について書き記していきたいと思います。
目次
二十二番札所〜三十番札所
前回同様、印象深かった札所について記していきます。取り上げていない札所については、下部に写真を貼っておきます。合わせて時間も記しておきますので、参考にしていただければと思います。
スタートは二十二番札所童子堂
前回は21番札所まで巡っていたので、今回は22番札所からのスタートです。
前回同様、西武秩父駅まで輪行していき、22番札所の童子堂まで自走していきました。
8:00過ぎに到着したので住職さんもまだ用意ができておらず、15分くらいの足止めをくらってしまいました笑
激坂の先の絶景、二十三番札所音楽寺
二十二番所から二十三番札所までは激坂が待ち受けています。徒歩の方の道ですが、舗装されており自転車でも通ることが可能です。ただ、斜度がかなりあるため、僕のボードウォークでは太刀打ちできませんでした泣 写真でいうと右の坂です。
仕方なく押して登ることに。距離がそこまでなかったのが、不幸中の幸いでした。
音楽堂は山の中腹にあります。納経所までは自転車で行くことができますが、そこから観音堂までは徒歩でいきます。さらに、観音堂から徒歩5、6分行くと十三地蔵尊があります。ここに登る途中がなかなかの絶景ポイントでした。
今回は11月の下旬に秩父を訪れたため、紅葉が綺麗なポイントがたくさんありました。紅葉と言えば京都が人気ですが、秩父でも紅葉とお寺という日本らしい景色が楽しめます。京都よりもいいところは、人が少ないところ。ほとんどの景色を独り占めできるほどです。五重の塔などがあるわけではないので、スケール感は負けてしまうかもしれませんが、日本のわびさびを堪能できます。
観音堂までは階段を上る。
階段の先の観音堂
秋だったので、お寺と紅葉のコラボレーションが見事でした。
十三地蔵尊に行く途中で後ろを振り返ると絶景が!秩父盆地を眼下に見下ろすことができます。紅葉もいいアクセントになってますね。
木々の間から望む秩父の街並み
70mの岩壁の前に立つ二十八番札所橋立堂
橋立堂は三十四箇所の中で最も観光地化が進んでいる札所です。その見所は何と言っても、観音堂の後ろにそびえ立つ70mの岩壁です。誰もが圧倒される景色です。この岩壁は石灰岩でできており、秩父が昔海の底だったことを表しています。ブラタモリでタモリさんも訪れていました。
そして、もう一つの見所が埼玉県の天然記念物ともなっている鍾乳洞。境内に鍾乳洞がある珍しいお寺さんです。鍾乳洞は大人200円で入ることができます。
鍾乳洞は150mほどと短いですが、探検気分を味わえます。埼玉県で唯一観光できる鍾乳洞らしいのでとても貴重です。
橋立堂は鍾乳洞があるため、観光客で賑わっています。観光客向けにおしゃれなカフェもあります。ここでは美味しいコーヒーを頂くことができます。
春には枝垂れ桜美しい二十九番札所長泉院
二十九番所は春に訪れたいお寺です。その見所は何と言っても樹齢130年と言われる見事な枝垂れ桜です。別名「よみがえりの一本桜」。大きな杉の影となり枯れかけていたものが、ダムの建設で杉が伐採されたことで息を吹きかえしたところから、そう呼ばれているそうです。切られてしまった杉の方は可哀想ですね。
春に訪れた時の写真です。夕暮れなので写真映えがいまいちですね。
秩父の桜は清雲寺もおすすめです。
詳しくはを下記をご参照ください。
長泉院の納経所の前には可愛いネコちゃんがいました。まだ遊びたがりの子供でしょう。近寄ると戯れてきました。子供で手加減を知らないので爪と牙が痛かったです笑
札所間の距離が伸び出す三十番札所
さて、2日目午前中最後に訪れたのが三十番札所の法雲寺です。二十九番所までは、札所間の距離が2〜3kmであるところが多かったのに対し、二十九番所から三十番所までは7km弱ありました。ここから最後の三十四番札所までは、札所ごとの距離が伸びます。長いところでは15kmほどになります。ここからが自転車札所巡りの本番と言っていいでしょう。
道の駅・両神温泉薬師の湯
三十番札所から三十一番札所までは15kmほどあります。その途中にある道の駅・両神温泉薬師の湯でお昼を食べることにしました。この道の駅は小鹿野町両神薄にあります。小鹿野町は大きなカツが二枚乗っていることから、その名がついた「わらじカツ丼」が有名であるとのことでしたので、これを食べようと思いました。しかし、食券売り場には普通のカツ丼しか売ってありません。仕方なく普通のカツ丼を注文。出てきたのがこちら。
わらじカツ丼っぽい笑
小鹿野町ではこれがスタンダードなのでしょうかね。だからこそ名物になるのかも。
「わらじカツ丼」で売り出せば、もっと売れると思います。余計なお世話ですね笑
さて、時刻は12:50。これからのことを考えると余裕がある時間ではありません。とりあえず、先を急ぐこととしました。
三十一番札所〜三十四番札所
さて、札所巡りも終盤に突入。残すところは4箇所のみです。先程も述べましたが、ここからは一箇所ごとの距離が長く、何より高低差があります。この高低差が難敵でした。さらに、なぜか後半の札所は見所が多く、一箇所一箇所に所要時間がかかりました。札所巡りはここからが本番と言ってもいいかもしれません。
行くまでが大変、行ってからも大変三十一番札所観音院
三十番札所から三十一番札所までは、かなりのガッツを必要とします。まず、その距離。札所巡りで最長の15kmほどです。さらに、高低差がかなりあります。峠を一つ越えて下ったと思ったら、また登りがあります。ここでかなりの体力を奪われました。
峠はトンネルになっていることが多いです。トンネルは狭く、交互通行であることが多いので注意が必要です。ライトは必ず持っていきましょう。
さらに着いてからは着いてからで、296段の石段を登らなければなりません。着いてからも体力を必要とする札所なのです。
木々に囲まれた立派な山門をくぐります。ここに安置されている仁王像は、石造りのものとしては日本最大だそうです。
石段が遥か上に伸びていきます。
観音堂は大きな岩壁を背に立っています。荘厳で苦労して来る価値があります。
ちなみに、三十一番所の手前700m付近の道中に地蔵寺というものがあります。このお寺は水子供養のお寺で、14000体の地蔵が奉納されています。最初、その光景には目を疑い、神々しささえ感じましたが、回っている無数の風車を見ていると、合掌せずにはいられませんでした。
随一の山寺感、三十二番札所
個人的にすごく好きなところでした。お寺に詳しいわけではありませんが、「ザ・山寺」という印象を受けました。
札所で唯一の鐘楼門をくぐります。
階段を上っていくと舞台づくりの観音堂があります。何ともいえない荘厳さを感じることができます。
熊に注意
後半は林道を走ることが多いのですが、いたるところでこのような看板があります。峠越えなどは熊鈴持って来ればよかったとびくびくしながら登っていました笑
時間との勝負の最終盤!痛恨のコースミス
三十二番札所を出発した時間が14時50分。納経所が閉まる時間が16時。残す札所は2箇所。距離的には17kmほど走らなければなりません。単に17kmを走るだけだったら余裕を持てる時間ですが、高低差ありのコースかつ、途中で参拝をする必要があります。そのため、時間的にはかなりギリギリでした。
三十二番所からは自転車を飛ばして、三十三番所に向かいました。三十三番所は三十二番所よりも低い位置にあったため、6kmの道のりをかなり快調に行くことができました。そしてありがたかったのが、山寺のように階段を上ったりする必要がなかったこと。札所での所要時間もだいぶ少なくすることができました。そして、三十三番所を後にしたのが15:20頃。残すは三十四番札所のみ。その距離、約10km。時間がなかった僕はここで痛恨のミスをしてしまいました。コースの選択をミスってしまったのです。
僕はグーグルマップを頼りに次ぎの目的地へ向かっていました。ご存じの通り、グーグルマップは目的地までいくつかのルートを示してくれます。ルートは距離が短い順に表示されますが、距離が短いからといってそれが最短時間で着くルートとは限りません。なぜなら、短いルートでも高低差があったりするルートがあるからです。今回のルートがまさにそれでした。時間がなく焦っていた僕はルートの標高差を見ることなく、ただ最短距離というグーグルマップで一番上に出てきたルートを驀進してしまいます。下に載せたルートマップを見ていただければわかると思います。上の地図が僕が走った道。距離は11.4kmと、2番目に示された13.2kmよりも短いですが、上り381m、下り339mと完全に峠越えのルートとなってしまっています。一方、下のルートは上り151m、下り112mと高低差は半分以下です。自転車やってる人だったらわかると思いますが、ヒルクライムはとてもしんどいものです。何より、今回僕はボードウォークというお世辞にも走行性能が高いとは言えないミニベロでした。山中では歩くほどのスピードになってしまい、最後には力尽き自転車を押して上る羽目になってしまいました。そして、峠越えの最中に時刻は16時を回ってしまいます。「あと、一箇所なのに。。。」山中でフラフラになりながら、絶望に打ちひしがれました。ダメだろうなとは思いつつ、少しくらいなら納経所を開けていてくれるかもしれないという甘い期待を抱いて、とりあえず目的地を目指すこととしました。
目的地の三十四番札所水潜寺についたのが、16時5分。5分どこかで時間を短縮できていれば。。。と思いつつ納経所に行くと、住職らしき人が!「まだ御朱印いただけますか?」と恐る恐る尋ねると、「大丈夫ですよぉ」の声。諦めなくてよかった。。水潜寺の住職の方は凄く優しい方で、時間が過ぎているのにも関わらず怒ることもなく、むしろ「焦りますよねぇ」と同情すらしてくださるほど、お優しい方でした。本当にありがとうございました。
走ったルート。峠越えがあるのがわかる。
推奨ルート。距離は長いが高低差は少ない。
帰路へ
なんとか三十四箇所を回り終えたので、帰路につきました。帰りは西武秩父駅まで自走することも考えましたが、すでに疲労困憊だったため、最寄りの秩父鉄道皆野駅から輪行することとしました。
ローカル感がたまりません。PASMO、Suicaが使えないので注意が必要です。埼玉県内でPASMO、Suicaに対応していないのは秩父鉄道だけだとか。
秩父にはセメントの原材料となる石灰石の採掘場である武甲山があります。秩父鉄道はその採石を輸送する重要な路線でもあります。駅で待っていると、採石を満載にした貨物列車を見ることができます。
経由駅である西武秩父駅では秩父味噌ラーメンを食べました。秩父はお味噌も有名なんですね。
帰りも特急レッドアローを利用しました。古いタイプのカラーリングで「レッドアロークラシック」と呼ばれているようです。1編成しかないようなので、レアなのかも。。
ちなみに、レッドアローを使用する場合はチケットレスサービス「Smoozを利用すると便利です。秩父方面からは土日の夜など、混雑しますので輪行などのように座席指定が必要な場合は利用しましょう。
まとめ
2日間に渡った自転車での秩父三十四箇所巡りもなんとか結願することができました。タイトルにもあるようにミニベロで挑むには少々ハードな道のりとなります。特に後半の札所は山寺が多いため、高低差に注意が必要となります。計画の際は、距離だけでなく高低差も考慮に入れた計画を立てるといいと思います。ロードバイクなどに普段乗っている人は余裕のある計画が組めるとは思います。
自転車で巡礼するのは時間的にも体力的にもハードでしたが、秩父という地の歴史や奥深さの片鱗に触れることができたと思います。秋に行ったていうのも、紅葉が綺麗でよかったかもしれません。
本来はきちんと納経し、一つ一つのお寺をじっくり拝観したいところでしたが、今回は2日で結願することを優先して回りました。お寺によっては奥の院があったり、まだまだ見どころもたくさんあります。今度は、一箇所一箇所時間をかけて回ってみたいものです。
今回走った全ルートです。距離116.5km、獲得標高2082m。
各札所の記録
8:08 二十二番札所 童子堂
8:46 二十三番札所 音楽寺
9:09 二十四番札所 法泉寺
9:32 二十五番札所 久昌寺
10:00 二十六番札所 円融寺
10:19 二十七番札所 大渕寺
10:35 二十八番札所 橋立堂
10:54 二十九番札所 長泉寺
11:35 三十番札所 法雲寺
13:42 三十一番札所 観音院
14:34 三十二番札所 法性寺
15:15 三十三番札所 菊水寺
16:06 三十四番札所 水潜寺
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